[経済史]マルクスの歴史観 「4つの生産方式」など

 生産力が向上し、経済が発展していく中でマルクスは「経済の発展が歴史の変化の基礎となる」という考え方を提起した。すなわち、経済は社会の「土台」であり、経済の上部構造として社会が存在すると考えた。これがマルクスの「史的唯物論」である。

 マルクスはこの史的唯物論で人類の発展の歴史を経済から把握しようと努めた。そのために、「経済」というものを改めて定義した。マルクスによれば、人類は物質的生活を再生産するために、自分の意志とは別に社会的関係を取り結ぶ。この関係を「生産関係」とよぶ。この生産関係によって、財貨の分配・交換・消費に基づく社会的分業によって経済生活を営むことになる。この生産関係と生産力を統一的に表すものとして「生産様式」という概念を定義した。この生産様式の総体が社会の土台となっていると考えたのである。

 そのように考えると、史的唯物論では生産様式から人類史の発展を把握することになる。すなわち、人類史の発展を考えていくためには生産様式の発展を考えていくことが必要になる。

 生産様式は、新しい生産諸力が生じることで生産力が限界に達する。すなわち、従来の経済体制に「矛盾」が生じることになる。生産力が限界に達するとその限界を超えるために新しい生産様式の担い手となる階級が勃興することになる。過去の例を挙げれば、「奴隷」という階級が生じたことを考えると分かりやすい。これは、私的所有の下で生産を進めるうえでさらなる生産力の向上を試みるが、そのための労働力が不足したために生じた階級ということができる。先ほども述べたように、自分の意志とは別に取り結ぶ社会的関係が「生産関係」であった。このように新たな階級が生じることで、「自分の意志とは異なる社会的関係」すなわち「生産関係」に変化が生じる。

 このように考えると、それぞれ特有の生産様式が次のように現れることになる。

  • アジア的生産様式(貢納制)
  • 古代的生産様式(奴隷制社会)
  • 封建的生産様式(封建社会)
  • 資本主義的生産様式(資本主義社会)

(一般経済史・ミネルヴァ書房 18ページ~19ページから引用)

このように考えると、生産関係が上に挙げたような4つの段階で進んでいくことは自然なことと考えられる。生産力を向上させていくうえで自然な流れだからである。先ほども述べたように、「生産関係」は社会の構造の基礎となる部分、いわるゆ「社会の土台」であるため、土台に変化が生じた社会は上部構造にも変化が生じることになる。したがってマルクスは、生産関係を基礎とする社会構成全体は、次々に高次のものに移行していき、その移行は自然的過程であると考えた。

さらにマルクスは、イギリスなど産業革命を早期に経た「先進国」の資本主義への移行は、産業革命を経ていない「後進国」をいわば「巻き込む」形で進んでいき、後進国にも波及すると考えた。しかし実際には、後進国の運動が先進国の変革に与える影響が重要視され、全資本主義的社会の基礎をなしている村落共同体あるいは共同体的所有に注意を払わねばならない状況となった。そのため、マルクスの予想通り「後進国」にまで完全に資本主義への移行が波及することはなかった。

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